魚類学雑誌
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ハダカホテイエソの初期生活史と分布・出現様式
川口 弘一H.Geoffrey Moser
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1993 年 40 巻 2 号 p. 161-172

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抄録

北太平洋の亜寒帯域と移行域に分布するハダカホテイエソTactostoma macropusの初期生活史を卵から稚魚までの連続標本に基づき記載した.卵は浮遊性で, 同所的に分布する他種の卵とは, 1) 卵径が1.38-1.55mmであること, 2) 囲卵腔の最大幅が卵径の40-47%を占めること, 3) 卵膜が滑らかであること, 4) 卵膜が一層であること, 5) 卵黄に亀裂があること, 6) 油球は1個であることにより区別可能である.
仔魚は, 騨化直後約4mmNLであるが発育して約40mmSLとなり, 変態して稚魚となる.変態過程で胸鰭とほとんどすべての体色素が一時消失する.
カリフォルニア海流域でのCalCOFI (1949-1984) 及び日本沖のデータに基づき, 卵・仔魚の分布と出現様式が似ていることが明らかとなった.卵と仔魚は, 亜寒帯域から移行域の水温14-18℃の季節温度躍層より浅い表層に出現し, 夏に出現のピークをもっ.

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