魚類学雑誌
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コイとフナの雜種不妊に関する細胞学的研究
松井 佳一牧野 佐二郎小島 吉雄
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1956 年 5 巻 1-2 号 p. 52-58

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抄録
コイとフナ (または金魚) はどちらを親にしても同様な結果をもつて雑種を生ずる。雑種F1の♂は完全に不婿である。雑種の精巣は相当の大きさに発育するが, 精子を生じない。精原細胞の分裂増殖は正常に行われるようで, 99の染色体 (コイのn, 52とフナのn, 47の和) がみられる。成熟分裂は異常となり, 精母細胞は成長期の初期, leptoteneからpachyteneの時期に大部分が核にピクノーシスを起して死滅する。また雑種は年齢とともに間性になる傾向がみられ, 82個をしらべたうちで32%が, いろいろな程度の精巣と卵巣より'なるモザイク生殖腺をもつていた。
雑種不姙の原因について遺伝学的立場より考察した。
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© 日本魚類学会
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