耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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総説
アレルギー性鼻炎における手術療法の実際と位置付け
濱田 聡子
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2020 年 38 巻 2 号 p. 51-56

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抄録

アレルギー性鼻炎患者は本邦においても増加し罹患率は4割近くに達している。労働生産性の低下,医療費の増加による経済的損失も大きく,アレルギー性鼻炎の治療マネージメントは社会的に重要な課題である。アレルギー性鼻炎の手術療法はガイドラインで重症以上の鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う症例に対し推奨の治療とされる。鼻腔形態が狭い,また鼻炎の反復発作を繰り返し粘膜肥厚が不可逆に進行し重症化している状態では,薬物療法による効果が期待できないため手術的治療が勧められる。加えて,通年性抗原や多抗原に重複感作があり年間を通じて鼻閉を中心とした症状のある患者,他の治療法が適さない患者に対しては手術療法が適している。実際の手術方法は ①レーザーなどの下鼻甲介の粘膜層を変性させ局所のアレルギー反応を抑制する変調手術,②粘膜下下鼻甲介切除術,鼻中隔矯正術などの鼻腔形態を整復し鼻閉を改善する手術,③後鼻神経切断術など鼻汁を抑制する手術である。鼻内内視鏡や医療機器の発展により微細な施術が可能となり,低侵襲で効果の高い術式が開発されてきている。手術療法は,保存療法で効果が得られない患者にとって,症状緩和できる最終的な治療となる可能性があるため,各々の患者の症状にあわせた最適な手術を施行することが望まれる。

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© 2020 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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