産業動物臨床医学雑誌
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総説
乳牛における被毛中コルチゾール濃度を指標とした慢性ストレスの評価
遠藤 なつ美
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2020 年 11 巻 5 号 p. 185-189

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抄録

 被毛中コルチゾール濃度の測定は,慢性ストレスを評価する新たな手法として近年ヒトや動物において注目されている.乳牛などの家畜においては,飼養管理上の慢性ストレスが健康状態や繁殖機能にどのように影響を及ぼすかを調べることが,動物福祉や生産性の向上に重要であると思われる.被毛中コルチゾール濃度の測定は,研究分野のみならず臨床現場においても新たな慢性ストレスの評価手法として使用できることが期待されるが,そのためには被毛中コルチゾール濃度がどの位正確に血中コルチゾール濃度の変動を反映しているか,ストレス以外に被毛中コルチゾール濃度に変動を及ぼす要因があるかといった基礎的な情報が必要不可欠である.本総説では,被毛中コルチゾール濃度の測定原理や具体的な方法について論じるとともに,乳牛における慢性ストレスが健康状態や繁殖機能にどのように関連するかについて最近の知見を元に考察する.

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© 2020 日本家畜臨床学会・大動物臨床研究会
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