抄録
乾乳期の乳牛に大腸菌ワクチン製剤を投与し,初乳中リンパ球数,リンパ球サブセット,免疫グロブリン濃度およびアデノシンディアミナーゼ(ADA)活性を調べた.試験には,臨床的に健康で乳房炎や血乳のなかったホルスタイン種経産牛を,投与群(V群)5頭とコントロール群(C群)5頭の2群に分けて供試した.V群の初乳中白血球はC群と比べて,リンパ球数,CD4陽性T細胞数,CD8陽性T細胞数,γδT細胞数,IgM陽性細胞数は差がなかった.V群のADA活性値は17.5±1.9IU/ℓで,C群の12.2±2.9IU/ℓに比べて有意な高値を示した.CD4陽性T細胞数とADA活性値の間に相関性が認められた.V群の初乳中免疫グロブリン濃度はC群と比べて,IgG1濃度とIgA濃度において有意な高値を示し,IgG1濃度とADA活性値の間に相関性が認められた.以上のことから,大腸菌ワクチン投与は初乳において液性免疫増強作用のあること,また,初乳中ADA活性は初乳の液性免疫状態を知る指標になり得ることが示唆された.