産業動物臨床医学雑誌
Online ISSN : 2187-2805
Print ISSN : 1884-684X
ISSN-L : 1884-684X
原著
大腸菌ワクチン投与後のホルスタイン母牛の初乳を給与された新生子牛におけるリンパ球動態とクリプトスポリジウム感染防御効果
青木 美樹子丹羽 友一郎小松 司岡田 啓司安田 準板垣 匡
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 2 巻 1 号 p. 7-13

詳細
抄録
Cryptosporidium parvumは生後間もない子牛に感染し下痢を引き起こす消化管内寄生原虫である.本研究ではC. parvumの感染制御において,あらかじめ大腸菌ワクチンを接種した母牛の初乳を介した新生子牛への免疫賦与が効果を持つか否かを検討した.まず,C. parvumが常在する農家の妊娠牛に,免疫を賦活する目的で大腸菌ワクチンを投与したところ,末梢血中のCD4+T細胞およびCD8+T細胞の増加がみられ,さらに分娩後の初乳ではCD4+T細胞,CD8+T細胞あるいはγδT細胞の割合が増加した.その初乳を給与された子牛では末梢血中のそれらのT細胞サブセットが増加する傾向がみられたが,これらの新生子牛の糞便からは対照群と同様にC. parvumオーシストが検出され,その排出数や下痢の程度,下痢の発現時期にもほとんど差異がみとめられなかった.牛におけるC. parvum感染防御においてCD4+T細胞およびCD8+T細胞がいずれも重要であるとされているが,今回の研究で大腸菌ワクチン投与によって誘導される各リンパ球サブセットをはじめとする種々の免疫賦活物質を初乳を介して新生子牛に賦与してもC. parvum感染防御効果は得られなかった.今後さらにC. parvum特異的免疫の移入を含むその他の免疫賦活法を検討していく必要がある.
著者関連情報
© 2011 日本家畜臨床学会・大動物臨床研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top