2020 年 18 巻 p. 123-128
著作権をめぐる議論においては、近年の著作権法改正では著作権者の権利を保護するという側面 が目立つようになり、一般市民の著作権に関する意識が無視されがちであることが指摘されてきた。 このような現状においては、一般市民の著作権に関する意識を把握し、そのような著作権法の現状 が一般市民の意識と適合的であるかを検討することが有益であると考えられる。そこで本研究は、 著作権侵害の取り締まりへの支持を規定する要因を探索することを目的として、シナリオ法による 実験を行った。具体的には、先行研究を参考にし、取り締まりへの支持と、主観的・客観的な重大 性、再犯可能性、発生可能性の間の関連を検討した。その結果、(a)著作権侵害に対する取り締ま りへの支持と関連を示すのは主観的重大性、主観的再犯可能性であること、(b)客観的性質と比べ て、主観的評価は取り締まりへの支持をよりよく予測することが明らかにされた。