2015 年 2015 巻 25 号 p. 13-20
本症例は,初診時年齢38歳3か月の男性で,上顎左側智歯が完全萌出するも,対合歯の既抜歯に伴い咬合できなくなっていたことより,同歯を実験に用いることとした.
抜歯に際して,デンタルX線撮影を行った.そして,ドナー歯をポリッシングさせました.局所麻酔薬には,1/8万エピネフリン含有キシロカインを使用した.ダイヤモンド付き鉗子のみによる抜歯を行った.抜歯された歯は,ポリプロピレン製容器に前述の冷凍保存液中に浸漬された.磁場を用いたプログラムフリーザーで冷凍を行った.ドナー歯の冷凍後,-150°Cの超低温冷蔵庫にて4日間冷凍保管した.解凍は,移植直前に室内温度22°Cで自然解凍した.
移植後30日目に歯内療法を水酸化カルシウム製剤で根管充填を行った.冷凍保存した歯の自家歯牙移植した結果,歯根膜が再生し現在も長期に安定した状態を維持されていた.