抄録
セットアップにオーバーコレクションを組み込むか否かは意見が分かれるところであり,弊社で受注する割合も両者ほぼ同じである.
アイデアルセットアップには治療ゴールを明確にしてワイヤーのシンプル化を図り,適切なカスタムベースを製作する役割がある.
一方,ケースに応じたオーバーコレクションを組み込むことで,ノーベンドとはいかないがチェアサイドでのワイヤーベンドを極力減らすことができる.
リンガル矯正の経験豊かな先生であれば蓄積された結果から自身の治療に合ったオーバーコレクションの指示を仰ぐことができるが,セットアップ設計相談をする中で技工士の意見を求められる場面も多い.
今発表では矯正医と技工士のセットアップ設計相談がスムーズになるよう,指示の出し方について実例を挙げて紹介する.
また,オーバーコレクションを入れる際の基準も示し,曖昧になりがちなオーバーコレクションを整理して治療のシンプル化に役立てばと思う.