抄録
舌側矯正の診断と治療方針に基づいてセットアップの処方を決定することは大変重要な要素である.正しい処方で適切な歯牙移動が行えると,よりシンプルで無駄のない円滑な治療が可能と考える.そこで,ストレートワイヤー法でスライディングメカニクス用のオーバーコレクションの設定値を考案し,処方値を正確にフィードバックしたセットアップの製作方法や先行する片顎の選択基準を紹介する.そして,それらの計算方法に基づき算出したものを組み入れた症例において良好な治療結果が得られたので合わせて発表した.本稿では,誌面の限りがあるので,骨格性Ⅰ級上下顎前突症例について説明する.