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音声言語医学
Vol. 50 (2009) No. 1 P 1-5

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http://doi.org/10.5112/jjlp.50.1

原著

高度の嚥下障害において気管切開は気道確保や気道管理の面からは有用であるが,一方で嚥下時の喉頭挙上を阻害するなどの嚥下機能に対する弊害もある.今回,保存的治療で嚥下機能の改善が得られなかった気管切開を有するワレンベルグ症候群例に対し,カニューレの変更と気管切開孔形成術により嚥下機能の改善を得ることができた.
症例は70歳男性,脳幹梗塞により嚥下障害を発症.気道管理目的に気管切開術を受け,カフ付きカニューレを装着された.その後,嚥下訓練を継続するにもかかわらず,嚥下機能の改善が得られないため当科紹介された.治療はカニューレをカフなしカニューレに変更し,高位にあった気管切開孔の位置を下方に再形成した.これを契機に嚥下時の喉頭挙上の改善と誤嚥の減少が得られ,その後の嚥下訓練により経口摂取の自立と気管切開孔の閉鎖を行うことができた.嚥下障害の診療の際には,気管切開が嚥下機能を障害あるいはその改善を阻害することがあることを念頭におく必要がある.

Copyright © 2009 日本音声言語医学会

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