2022 年 63 巻 1 号 p. 23-33
本研究の目的は,特別支援学校(聴覚障害)小学部より高等部までの児童生徒を対象に,文章音読での発話速度の特徴を横断的に分析し,学部間および裸耳平均聴力レベルとの関連や発達的傾向を解明すること,人工内耳装用時期,発話速度に対する自己評価との関連を検討することにある.その結果,裸耳平均聴力レベル80〜99 dB群および人工内耳装用群は小学部低学年より中学部のほうが1モーラ当たりの持続時間および文中ポーズ時間が短縮することが示唆された.また,発話速度に対する自己評価と1モーラ当たりの持続時間について,全体的に有意な関連を認めた.したがって,1モーラ当たりの持続時間が長い発話を示す聴覚障害児は,自己評価でも発話速度が遅いと自覚していることが明らかになった.