音声言語医学
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原著
チューブ発声中の口唇部の振動を可視化する携帯型フィードバックシステムの開発
川村 直子北村 達也
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2023 年 64 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

音声治療で用いられるチューブ発声法では,発声時の口唇周辺の振動感覚を重視する.しかしながら,患者がその感覚を頼りに練習の適切性を判断することは容易ではない.また,それを補うために練習中の振動感覚を客観的に示す簡便で小型のシステムは存在しない.そこで,チューブ発声中の口唇部の振動を加速度センサで計測し,その振幅や基本周波数の変化を光でフィードバックする携帯型の発声訓練支援システム「スマートチューブ」を開発した.音声障害のある女性1名を対象に約3ヵ月の運用評価を行った結果,システムの使用性は良好で継続的に使用されていた.加えてスマートチューブの視覚的フィードバックは練習の目標や結果を明確にし,利用者の心理面に良い影響を及ぼしていた.これまでの主観的感覚にスマートチューブによる客観的指標を加えることで,訓練の継続性および治療における患者と言語聴覚士のコミュニケーションを促進する可能性が示唆された.

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© 2023 日本音声言語医学会
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