1983 年 24 巻 2 号 p. 135-148
重複障害を伴う脳性麻痺児の言語獲得を考える一環として, 当園言語室で経過観察中の〈盲C.P.児〉 (1~12歳) 8例について, 言語行動に関連した諸情報, および観察結果を分析し, 若干の知見を得たので報告する.
今回の分析結果からは, 生理, 心理的側面の情報中に, 彼らの言語獲得の可否を左右するにたる条件をみい出すことはできなかった.しかし, 彼らの裡で何らかの有意味発話を認めた3症例には, 言語行動上にいくつかの共通した傾向が認められた.それは〈言語規則〉の側面からは, 音形, 統語, 意味の各面に関する発達遅滞 (仮説修正過程の不足) として集約されうるものであったが, 〈言語機能〉の側面からみるなら, 言語音刺激に対する過度の固執と, 言語を介した外界認知, および伝達の仕方の〈固さ; rigidity〉に, その特徴があらわれているように思われた.