1983 年 24 巻 4 号 p. 235-247
われわれは, 失語症患者の聴覚的理解過程における言語学的, および非言語学的障害を検出するため, Token Testの改訂版を考案した.改訂化の目的として, 言語学的操作に基づく処理能力をいかに評価するかにあった.そこで, オリジナル版Token Testより8つのタイプの文法的項目を抽出し, 項目およびユニットの数および質を系列化することを試みた.予備的実験として, 43名の失語症患者に改訂版を施行した結果, つぎのような成果を得た.
(1) 改訂版のI~IV部における誤答数には, 一様に短期記銘力が関与していた.
(2) 改訂版のV~VIII部における誤り方は様々であったが, 左右関係および時間的順序に関するユニットが比較的高い感度を示した.
(3) 改訂版の成績により, 失語症患者における障害タイプを分類することはできなかった.