音声言語医学
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失語症患者の言語訓練経過 (I)
―タイプおよび年齢による差異について―
福迫 陽子物井 寿子
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1984 年 25 巻 4 号 p. 295-307

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抄録

失語症の言語訓練経過を知ることを目的に, 脳血管障害性失語症患者275例 (全例右利き左脳損傷) について失語症鑑別診断検査 (老研版) の総得点を指標として検討し, 以下の知見を得た.
(1) 失語症の言語訓練経過はタイプによって差異が認められた.
(3) タイプ内における言語訓練経過には, 老年群と壮年群の間で差異が認められるタイプと, そうでないタイプがあった.
(3) 言語訓練に伴って症状の変化が認められる期間は, 発症後18カ月以内が多かったが, タイプや年齢によって異なり, また個人差も認められた.
(4) 言語訓練を中断した症例では, 中断前後で改善は認められなかった.
(5) 再発作・手術例では, 再発作・手術後, 全例で失語症状は悪化し, またタイプもより重篤なタイプへ移る傾向が認められた.

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