音声言語医学
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聴覚―口話法による早期教育の検討
内山 勉伊集院 亮子徳光 裕子
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1988 年 29 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

聴覚―口話 (Auditory-oral) 法による早期教育を受け, 普通小・中学校に在籍している難聴児 (15人) について, 純音聴力検査・単語聴き取り検査 (聴覚活用のみ・読話併用の2条件) ・WISC-R知能検査を行い, 同時に学校適応状況の調査を行った.その結果によると, 聴覚活用による聴き取り成績は聴力と言語性IQとを変数とする関数関係にあり, 聴力が重いと成績は低下し, 言語性IQが高いと成績は向上した.また, 読話は聴き取りを補う形で行われており, さらに動作性IQと関連していることが示された.3歳0カ月時点で2語文の表出がみられた難聴児は, 追跡時点で言語性IQは90以上であった.すなわち, 早期教育の効果は3歳時点で確認することができた.さらに, 難聴児の学校適応は, 聴力や言語力以外の要因によっても影響されることが示された.

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© 日本音声言語医学会
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