1988 年 29 巻 4 号 p. 316-321
台湾の教師にみられる音声障害の実態を知り, それに対する対策を立てる目的で, 1986年7月より1987年1月までの7ヵ月間に国家公務員外来センター耳鼻咽喉科を受診した教師391名を対象としてアンケートによる調査を行った.結果を以下に示す.
(1) 1週間の授業時間数は音声障害発症に重要な要素であった.
(2) 騒音環境は音声障害の発症因子と考えられた.
(3) 学校教師の中では小学校の教師の音声の問題がより深刻であった.
(4) 音声障害は, 女教師に高頻度にみられた.以上の結果より音声障害の予防策としては, 授業時間を減少し, 環境騒音を排除する努力が必要である.なかんずく, 女教師に対する配慮が必要であることが示唆された.