音声言語医学
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鼻咽腔閉鎖機能不全を示す口蓋裂症例の構音の聴覚的分析
相野田 紀子阿部 雅子岡崎 恵子
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1991 年 32 巻 3 号 p. 299-307

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抄録

重度の鼻咽腔閉鎖機能不全を示す6歳以上の口蓋裂症例148例 (術前54例, 術後94例) について, 復唱法による単音節での構音を聴覚的に分析して次の結果を得た. (1) 得られた単音節はすべて異常と判定された.内訳は, 閉鎖機能不全に起因する子音の歪みが68%を占め, 声門破裂音は27%であった. (2) 歪みと声門破裂音の出現は, 子音の音声学的性質に影響された. (3) 構音障害のパターンによって, 全症例は歪み群, 声門破裂音群, 混合群の3群に分類された.これら3種のパターンの出現は, 症例の年齢と関連を示した.以上の構音検査結果に基づき, 次の3点について考察した. (1) 閉鎖機能不全症例における構音障害, (2) 閉鎖機能不全症例の分類, (3) 口蓋裂症例における代償的構音.さらに, 代償的構音産生の機構およびその個人差に関する研究の必要性を強調した.

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