音声言語医学
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出生体重が1, 500g未満の難聴児の精神発達について
内山 勉徳光 裕子田中 美郷
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1993 年 34 巻 3 号 p. 229-236

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抄録

低体重で出生した難聴児の精神発達について検討を行った.対象児の総数は13名, 出生体重は1, 500g未満 (398~1, 460g) , 在胎週数は24~32週, 平均聴力レベルは60~110dBの範囲内であった.対象児の発達検査および知能検査結果によると, 発達指数 (DQ) または動作性知能指数 (PIQ) は5~107の範囲であり, DQまたはPIQが80以下の事例は10名 (77%) であった.出生体重が1, 000g未満の未熟児49名の発達と比較して, 対象児では発達遅滞の出現率が有意に高かった.PIQが85以上の3事例について検討を行った.双生児で出生した2事例では, 健聴である同胞に比べPIQが低く, 言語面以外の発達でも差があることが示された.残る1事例も行動面にかたよりがみられた.3事例はともに言語発達に遅れがみられ, 認知障害が遅れの原因と考えられた.以上の結果より, 出生体重が1, 500g未満の難聴児は発達遅滞もしくは認知障害を合併する可能性の高いことが示された.

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