中枢性難聴児の早期言語指導を省みて, 以下の点について言及した.
1.小児の中枢性難聴を, Landau-Kleffner症侯群 (LKS) による語聾/聴覚失認群と両側側頭葉損傷による聴覚失認群に大別し, LKSではさらに聴覚機能障害が改善する群と語音認知障害が持続する群とに分け, それぞれの聴覚言語障害と経過について述べた.
2.小児の中枢性難聴の鑑別診断と言語指導の問題について, (1) 純音聴力検査とABRにより, 末梢性難聴を否定する必要があること, (2) 早期より指文字や手話, 文字のような視覚的言語メディアを用いて内言語を形成させることが重要であることを指摘した.さらに脳損傷児としての不適応行動があるため, 言語訓練の効果があがりにくい傾向がみられた.したがって言語指導にあたっては, 常に医学的, 心理学的なコントロールのもとに, 長期的な経過観察を行いながら, 個々の子どもに合わせた指導を行っていくことが大切である.
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