音声言語医学
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聴覚障害児の場合
能登谷 晶子立石 恒雄鈴木 重忠
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1995 年 36 巻 2 号 p. 286-291

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抄録

前言語期における聴覚障害児の指導法について報告した.障害が高度の例には視覚経路を活用する, また視覚的な過程を経た後に聴覚的な過程へと移行させる方法を取りいれるという考えから, 以下の3つの段階に沿って臨床を行っている.第1段階は, コミュニケーションの存在に気付かせる段階の指導.第2段階は, コミュニケーションの相互性に気付かせる段階の指導.第3段階は, コミュニケーション関係を定着させ, 言語記号の理解の成立をはかる段階の指導である.本研究では, 0歳代から訓練を開始できた95dB以上の高度難聴児4例を対象に, 各段階の経過について検討した.その結果, 第1段階は生後3ヵ月頃までに通過し, 第2段階は生後6ヵ月以降に認められるようになり, 第3段階は1歳前半までに成立することがわかった.したがって, 0歳代から訓練を開始することにより, 健聴児とほぼ同様の時期から言語記号の獲得が可能であることがわかった.

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© 日本音声言語医学会
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