音声言語医学
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言語発達における模唱の機能 (2)
―自閉症2例の分析から―
岩田 まな佃 一郎
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1996 年 37 巻 2 号 p. 173-179

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抄録

当科で治療を行った結果, 良好な言語発達を示した自閉症児2例について, 模唱と言語発達の関連を調べ, 先に報告した健常児の模唱と比較した.
(1) Tらが子供の動作やjargonを模倣すると, 模倣されていることに気づき, jargonを言っては模倣を待つという遊びに発展した.
(2) その後子供の側からの模唱が生じ, delayed echolaliaの形で自発語となって定着していった.
(3) 健常児では模唱を語形変化させたり活用形を用いたり反対語を言うなど豊かな表現形式がみられたが, 自閉症児では5歳過ぎまで認められず, 文法面の発達の遅れが示唆された.

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