1996 年 37 巻 2 号 p. 223-227
声帯振動の観察には, 臨床的にストロボスコピーが多く用いられているが, その所見は声帯振動の規則性に依存しているため, 病的振動の観察には限界がある.そのためわれわれは計算機を利用した高速度デジタル撮影法を用いている.今回, 自己免疫疾患患者2症例にみられた声帯の沈着性病変を, いわゆる「竹節状声帯」とし報告するとともに, その特異な振動パターンにつき高速度デジタル撮影にて解析した.2症例とも, 抗核抗体陽性であり, 両声帯膜様部に帯状・竹節状の黄色隆起性病変を認め, 音声は粗糧性, 時に二重声を示していた.高速度デジタル撮影にて, その声帯振動を観察した結果, 竹節状の病変部が, 声門のスムーズな開放運動を阻害し, 声帯振動の変化・位相の変化を引き起こしていた.