音声言語医学
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特殊拍に対するメタ言語知識の発達
伊藤 友彦辰巳 格
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1997 年 38 巻 2 号 p. 196-203

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抄録

本研究は幼児が日本語の特殊拍 (撥音, 長音, 促音, 二重母音の第二要素) をいつごろからどの程度自覚できるかを検討したものである.対象児は3歳から6歳の幼児80名であった.本研究の結果, 以下の点が明らかになった.聴覚的に提示された特殊拍省略語を自覚的に捉えることができる幼児は4歳では4割に満たなかったが, 5歳では6~7割に達した.しかし理由を適切に言語化できる幼児は5歳でも4割に達しなかった.これに対して特殊拍を発話において自覚的に分節化できる幼児は, 促音を除き, 4歳ですでに100%に達していた.一方, 文字の読みが可能な幼児は特殊拍省略語の自覚の発達と同様, 4歳から5歳にかけて著しく増加したが, 文字が読める幼児が特殊拍省略語を自覚できるとは限らなかった.また, 発話において特殊拍を自覚的に分節化できない幼児は文字の読みもできない傾向が認められた.索引用語: 特殊拍, 分節化, 発達, メタ言語知識, 読み

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© 日本音声言語医学会
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