音声言語医学
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音声言語記憶の脳内メカニズム
―ポジトロンCTを用いた研究―
奥田 次郎
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2001 年 42 巻 2 号 p. 181-187

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抄録

音声言語記憶の脳内メカニズムを知る目的で右利き健常男性を対象にポジトロンCT (PET) を用い脳賦活実験を行った.刺激として日本語の単語を両耳から聴覚呈示した.単語の即時復唱課題中の局所脳血流量画像を単語を聞くのみのコントロール課題中の画像と比較した結果, 左半球のブローカ野, 縁上回およびウエルニッケ野を含む環シルビウス溝言語領域の賦活を認めた.右半球においてもシルビウス溝付近の上側頭回の賦活を認めた.単語復唱課題に加え約10分前に記憶した10単語の把持が求められる課題を単語復唱課題のみを行うコントロール課題と比較すると, 左半球の環シルビウス溝言語領域の外側に位置する中・下前頭回, 角回, 紡錘状回の賦活を認めた.右半球ではシルビウス溝付近の上・中側頭回の賦活を認めた.これらのPET研究の結果は言語過程において左右大脳半球がシルビウス溝を中心とした機能分化をなすという仮説を支持する.

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© 日本音声言語医学会
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