音声言語医学
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42 巻, 2 号
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  • 廣瀬 肇
    2001 年 42 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    中枢神経疾患の臨床症状として構音・プロソディの障害とともに音声障害の存在が注目されている.わが国において, これらの障害は一括して運動障害性構音障害と呼ばれることが多い.ここでは各種の疾患における音声症状について最近の報告を中心に概説した.
  • 藤野 博
    2001 年 42 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語発達障害児における表象能力の障害について明らかにするため, 彼らの象徴遊びについての検討が行われてきた.しかし, その結果は多様であり, これまでに統一した見解は得られていない.それらの研究は生活年齢や言語表出レベルを合わせた言語発達障害児と健常児の象徴遊びを比較しているが, そのマッチングの方法に問題があると考えられる.象徴遊びが言語表出よりむしろ言語理解に関係するなら, 被験児のマッチングは言語理解レベルによって行われる必要があるのではないだろうか.そこで本研究においては, 言語理解のレベルを合わせた言語発達障害児と健常児の象徴遊びを比較し, 検討した.象徴遊びはSymbolic Play Test (SPT) を用いて測定した.その結果, 両群間のSPT得点に有意な差は認められなかった.言語発達障害児群のSPT得点をLoweらの換算表により象徴遊びの発達年齢を求め, 言語理解の発達年齢と比較すると有意差が認められた.また, 象徴遊び発達年齢と言語理解発達年齢との間には有意な正の相関が認められた.この結果から, 言語発達障害児における言語理解の遅れは象徴遊びを成立させる表象能力の問題と関係する可能性が示唆された.
  • 中川 辰雄
    2001 年 42 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工内耳手術をするに当たって, 専門家のアドバイスは重要であるが, それを受けて最終的に人工内耳手術を子どもに決断するのは保護者である.親が補聴器から人工内耳に興味を持ち, やがてその中から一部は実際に人工内耳手術を受けることを決意する.その過程にはどのような要因が関係しているのであろうか.研究1では, 聴力正常で子どもの平均聴力レベルが90dBよりも大きい57名の保護者を対象に, 親の人工内耳手術に対する興味の有無と, 子どもの聞き取りや音声の表出に関する評価との関連性を質問紙法により検討した.研究IIでは, 子どもがすでに人工内耳手術を受けた16名の親を対象に, 同様な調査を行い術前と術後の比較を通して, 人工内耳の聞き取りや音声の表出に及ぼす効果を検討した.研究IとIIを通して, 親を補聴器から人工内耳手術に決断させる要因と, 親を対象にした子どもの聴取能力や音声の表出能力の評価の有効性について考察した.
  • ―一段階口蓋形成術との比較―
    今井 智子, 山下 夕香里, 鈴木 規子, 道 健一
    2001 年 42 巻 2 号 p. 145-155
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    二段階口蓋形成術 (二段階法) を施行した口唇口蓋裂症例18例の言語成績を, 粘膜骨膜弁による口蓋後方移動術 (一段階法) 施行例22例と比較検討した.二段階法はPerko法に準じて行い, 1次手術後硬口蓋閉鎖までの間, 全例口蓋閉鎖床を装着した.硬口蓋閉鎖後7歳時の鼻咽腔閉鎖機能 (VPC) は良好17例, ほぼ良好1例であった.異常構音の発現頻度は二段階法88.9%, 一段階法59.1%であり, 二段階法では声門破裂音, 側音化構音が多かったが, 声門破裂音はVPCが改善するに従い, 消失する傾向が認められた.一段階法では口蓋化構音が多かった.以上の結果から, 二段階法は異常構音の出現頻度は高いが, 最終的には一段階法と同程度のVPCが得られ, 一段階法に劣らない言語成績が得られる方法と考えられた.適切な言語管理を行うことによって, 異常構音の予防や自然治癒の促進を図り, 言語成績をさらに向上させていくことができるものと考える.
  • Cooper Donald S., Ph. D.
    2001 年 42 巻 2 号 p. 156-164
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Much research on structures underlying speech is based on non-human models. Sometimes we wish to know about non-human species, but more often often our basic objective is to apply the information acquired to humans. The objective of this paper is to indicate a strategy for this purpose, and exemplify it in regard to the larynx.
    We may depict one particular animal group such as the eutherian mammals in terms of an archetype, from which the traits of constituent groups can be derived. This schema is applied to specify the relations between simultaneously existing species such as the subjects of our experiments.
    The way to quantification of such relations was shown by D'Arcy Thompson. An important aspect explored here is the scaling of different species in relation to their spatial dimensions and physiology. We explore such scaling in regard to the size, mass, force, speed of contraction, fatigue-resistance, and precision of control of laryngeal muscles.
    The use of appropriate procedures for physiological scaling, and other metaanalytic procedures, can assist us in the integration of available information abont laryngeal physiology, building on data from non-human species to improve the understanding of laryngeal function in humans.
  • 山鳥 重
    2001 年 42 巻 2 号 p. 165
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • ―SPECTを用いた検討―
    三村 將
    2001 年 42 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失語症の回復過程における左右大脳半球の役割という臨床的な立場から, 脳機能画像と言語機能の問題を検討した.失語症の回復には, 左半球内の機能回復と右半球内の機能活性化という2つの機序が想定されている.実際には両半球を含めた機能的ネットワークの再構築が関与する可能性が高いが, 本論ではまず, 失語症の長期回復経過において左右半球が経時的に異なる役割を果たすことを示唆する自験データを紹介した.SPECTを用いて脳血流量の変化を検討した2つの相補的な実験からは, 発症後早期の言語機能の回復は左半球内の機能的改善と関連し, 一方, その後の長期的な回復には右半球の役割が大きいと推測された.PETや機能的MRIを用いて失語症患者に機能賦活を行う最近の研究からも, 左右半球の役割が経時的に異なる可能性が示されている.SPECTは比較的簡便で, 複数回施行するのに適しており, 脳損傷例の経時的な臨床研究を行うには有用である.
  • 櫻井 靖久
    2001 年 42 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    漢字単語, 仮名単語, 無意味仮名文字列を5人ずつ別々の被験者群に音読させ, その賦活領域をStatistical Parametric Mapping (SPM) で解析した.漢字単語, 仮名単語で共通に賦活されたのは, 上側頭回後部, 舌状回, 下後頭回, 紡錘状回・下側頭回であり, 漢字では紡錘状回・下側頭回が, 仮名では下後頭回が目立って賦活された.これらは漢字と仮名の読みの過程に異なる部分があることを示唆する.さらに仮名単語を別の被験者5人に黙読させた時の局所脳血流の変化をSPMで解析した.黙読から凝視点固視課題を引いたのみでは前方領域で賦活されたところはなかった.音読から黙読を画像上引くと, 一次感覚・運動野, Broca野の一部 (44野) , 補足運動野, 島回前部が賦活されたが, これらは構音・発声に関わると考えられ, 他方音読と黙読に共通して中心前回前部, 頭頂弁蓋内側, 上側頭回中部が賦活されたが, これらは読みそのものに関わると考えられた.
  • ―ポジトロンCTを用いた研究―
    奥田 次郎
    2001 年 42 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    音声言語記憶の脳内メカニズムを知る目的で右利き健常男性を対象にポジトロンCT (PET) を用い脳賦活実験を行った.刺激として日本語の単語を両耳から聴覚呈示した.単語の即時復唱課題中の局所脳血流量画像を単語を聞くのみのコントロール課題中の画像と比較した結果, 左半球のブローカ野, 縁上回およびウエルニッケ野を含む環シルビウス溝言語領域の賦活を認めた.右半球においてもシルビウス溝付近の上側頭回の賦活を認めた.単語復唱課題に加え約10分前に記憶した10単語の把持が求められる課題を単語復唱課題のみを行うコントロール課題と比較すると, 左半球の環シルビウス溝言語領域の外側に位置する中・下前頭回, 角回, 紡錘状回の賦活を認めた.右半球ではシルビウス溝付近の上・中側頭回の賦活を認めた.これらのPET研究の結果は言語過程において左右大脳半球がシルビウス溝を中心とした機能分化をなすという仮説を支持する.
  • 藤巻 則夫
    2001 年 42 巻 2 号 p. 188-194
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    カナ文字と疑似文字およびこれらの文字列を視覚呈示して, 形態・音韻・意味処理を段階的に変えた課題を実験し, fMRIとMEGを使って脳活動部位と潜時を計測した.形態処理に関わる脳活動として, 刺激呈示後約200ms以内に視覚前野外側部, 紡錘状回, 側頭後下部で活動が現れ, (1) カナ文字と疑似文字とでは脳活動に差がなく, (2) 単一の文字では脳活動に左右差がないが, 文字列に対しては左半球優位となった.音韻処理については, 約200ms以降にウェルニケ野, 縁上回, ブローカ野ないし島の活動が現われた.なお音韻処理を細分化するため, 内語だけを行う別の課題の実験を行ったが, 音韻処理に関わる3部位とも顕著な負荷依存性を示し, 連動して活動することがわかった.意味処理は, 今回の課題では分離できなかったが, ウェルニケ野などの音韻処理の部位に重なって活動を生じた可能性がある.
  • 乾 敏郎
    2001 年 42 巻 2 号 p. 195
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 内田 以大, 竹中 暁, 亀山 征史, 小西 清貴, 宮下 保司
    2001 年 42 巻 2 号 p. 196
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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