カナ文字と疑似文字およびこれらの文字列を視覚呈示して, 形態・音韻・意味処理を段階的に変えた課題を実験し, fMRIとMEGを使って脳活動部位と潜時を計測した.形態処理に関わる脳活動として, 刺激呈示後約200ms以内に視覚前野外側部, 紡錘状回, 側頭後下部で活動が現れ, (1) カナ文字と疑似文字とでは脳活動に差がなく, (2) 単一の文字では脳活動に左右差がないが, 文字列に対しては左半球優位となった.音韻処理については, 約200ms以降にウェルニケ野, 縁上回, ブローカ野ないし島の活動が現われた.なお音韻処理を細分化するため, 内語だけを行う別の課題の実験を行ったが, 音韻処理に関わる3部位とも顕著な負荷依存性を示し, 連動して活動することがわかった.意味処理は, 今回の課題では分離できなかったが, ウェルニケ野などの音韻処理の部位に重なって活動を生じた可能性がある.