音声言語医学
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健常幼児の談話における構文能力と説明能力
―状況絵を用いて―
斉藤 佐和子
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2002 年 43 巻 3 号 p. 308-315

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抄録

健常幼児 (3歳6ヵ月~6歳11ヵ月) の, 談話における構文能力と内容説明能力の発達のデータを得る目的で, 絵の状況説明による検査を行った.3種の図版 (1) 1枚の状況絵 (2) 順接配列絵 (3) 逆接配列絵を用いて説明をさせ, 引き出した表出を分析した.その結果最も年齢差を引き出せた逆接配列絵で, 表出の長さを示す自立語数は2~5を示し, 年齢が1歳上昇することに数値が1ポイント上昇した.またすべての図版で, 4歳後半で各自立語に一つの文法形態素を付加することが獲得されていた.文法形態素の誤りが6歳前半群を除く各年齢に見られたが, 誤った子どもは全体の14%にすぎなかった.しかし接続の表現は逆接の内容であっても順接の文法形態素を使用する傾向があった.内容を説明するキーワードを過不足なく表出することは, 6歳台になると逆接配列絵で65%の子どもに可能になった.検査の図版によって結果に差が見られ, どのような図版を用いるかを検討する必要があることが示唆された.

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