音声言語医学
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失語症者の能動的態度に関する検討
―評価表の作成を試みて―
前岡 恵美
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2008 年 49 巻 4 号 p. 248-253

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抄録

失語症者の言語聴覚療法においてQOLの向上につながる訓練法の構築が重要である.今回, QOLに結びつくパラメーターとして「能動的態度」に着目した評価表 (能動的態度評価表; 以下, 評価表) を作成し, その基本的事項の検討をした.評価表は, 事物への関心, 対人意識等の6側面で構成し, 25の下位項目を設定した.本評価表を用いてスタッフ6名が15名の失語症者を評価した.その結果, 本評価表は内的整合性信頼性が高く評価スタッフ間の一致度は25項目中23項目で高かったことから, 失語症者の能動的態度の評価に有用性があると考えられた.また, 評価結果では, 事物への関心, 参加態度, 日常生活動作の3側面は良好であり, 対人意識, 発話行動, 社会的行動の側面は良好とはいえなかった.下位項目では, 言語的手段を必要としない項目は良好であり, 話題転換, 話題提供, 指導的役割, 指示行動, 他者への気遣い, 援助行動について, 非良好であった.

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© 日本音声言語医学会
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