2016 年 1 巻 1 号 p. 14-27
本研究では,トラウマを抱える児童が多く在籍する児童相談所における支援として,マインドフルネスにおいて重視されている心的態度,すなわち,身体感覚などのあらゆる経験に対する「受容的な気づき」を促す技法に着目した。そして,そうした技法の一つとしてヨーガを取り上げ,当該施設を利用する児童に適用した際の結果を検討した。具体的には,ヨーガに参加した33名の児童にアンケート調査を行い,その内容をKJ法に基づくカテゴリー化により分類・検討した。その結果,以下のことが示された。すなわち,「受容的な気づき」を重視したヨーガは,①トラウマ症状をはじめとする不適応感を抱える児童にも適用しやすい技法の一つであることが示唆された。また,②ヨーガを通して,心身の緊張が緩和されたことを示す報告が得られた。さらに,③日常生活においてもヨーガを活用したいと願う児童や,実際に生活の中でヨーガを実施している児童もいたことが示された。