抄録
近年,さまざまな困難な状況においても,自分を大切にしつつ,他者との関係性も意識する概念であるセルフ・コンパッションが注目されている。セルフ・コンパッションの一般向け心理教育プログラムの一つとしてMSC(Mindful Self-Compassion)が開発され,欧米では知見の蓄積が進められている。本研究は日本人を対象にMSCをオンラインで実施し,その心理学的な効果を前後比較で検証することを目的とした。調査は,プログラム参加前,プログラム終了後,終了6ヶ月後の3回にわたり実施され,13名(M = 49.31歳,SD = 12.19)が参加した。その結果,セルフ・コンパッション尺度日本語版,日本語版セルフコンパッション反応尺度,日本語版Mindful Attention Awareness Scaleにおいて,プログラム前後で得点が向上した。さらにプログラム終了6ヶ月後もその効果が持続していることが示された。