有病者歯科医療
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局所性DIC併発により抜歯後出血をきたした1例
中埜 秀史佐塚 太一郎内藤 克美
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2002 年 11 巻 2 号 p. 91-95

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抄録
慢性DICを併発していた抜歯後出血患者に対し止血に苦慮した症例を経験したので報告する. 右側上顎中切歯抜歯窩からの出血で酸化セルロース (サージセル®) を挿入, 縫合止血した. 再出血を繰り返したため入院となった. 血液検査でPLT 154×103/μlであったが血清FDP 200μg/ml以上と異常線溶充進状態であった. 止血処置はセルロイドシーネにて圧迫をしたが, 翌日には出血する状態であった. 心臓血管外科にコンサルトした結果, 大動脈瘤解離腔残存による慢性DICと判明した. そこで第5病日よりメシル酸ガベキサート (FOY®) およびヘパリンを使用したところ血清FDPは11.56μg/mlまで低下し徐々に止血された. 第15病日, セルロイドシーネを除去し第25病日, 創部治癒良好にて退院となった.
慢性DIC患者は, 血小板数が正常でも止血は困難であった.
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© 日本有病者歯科医療学会
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