有病者歯科医療
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抜歯後止血に難渋した解離性大動脈瘤を原因とする慢性DICの1例
玉置 盛浩今井 裕一郎舘林 茂福辻 智山中 康嗣川上 正良大儀 和彦桐田 忠昭
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2003 年 12 巻 1 号 p. 15-21

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抄録
今回われわれは, 解離性大動脈瘤術後の慢性DICにより抜歯後止血に難渋した症例を経験したので報告する. 患者は解離性大動脈瘤術後の75歳男性であり, 2002年10月5日某歯科医院で432〓13抜歯および歯槽骨形成術を受け, 翌日止血困難を主訴に当科を受診した. 血液検査とMRI検査より下行大動脈瘤を原因とする慢性DICと診断された. その後の血液検査より線溶亢進の傾向にあると判断し, プロテアーゼインヒビターであるメシル酸カモスタット (フォイパン®) 600mg/dayの経口投与を開始するとともに, 局所止血を併用した. 投与開始1週間後には止血し, 第30病日で抜歯窩の治癒を確認し軽快退院した.
本症例のような大動脈瘤などの基礎疾患を有し, それに起因すると思われる慢性DIC患者に対して観血的処置を行う場合は, 術後の出血に留意し, 出血する場合にはメシル酸カモスタット (フォイパン®) の経口投与が有用であると思われた.
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