抄録
人口の高齢化にともなって, 本邦では歯科診療施設を受診する患者の全身的疾患の保有率は以前より増加していることが知られている. しかし, 一般歯科診療所に通院する有病者の実態に関する報告はほとんどみられない. 本報告は, 医療法人定仁会小貫歯科医院に来院した外来新規患者における有病者率を調査したものである.
その結果, 1年間の新患2385名のうち, 36.8%にあたる877名が有病者であった. アレルギー疾患の保有率が最も多く, 次いで循環器疾患が多かった. 年齢と有病者率は正の相関を示した. また, 対象患者の約31%が初診時に何らかの薬剤を服用していた.
これらの結果から, 一般歯科診療所を受診する患者の全身疾患保有率は高く, そのスクリーニングは重要と考えられた. また, 一般開業医もそれらの全身疾患によって引き起こされる緊急事態に十分備える必要があると思われた.