抄録
潰瘍性大腸炎を有する歯性炎症患者の口腔粘膜に限局して生じた帯状庖疹の1例を報告する. 患者は21歳, 男性で発熱と右側頬部の腫脹を主訴に東邦病院歯科口腔外科を受診した. 右側下顎智歯周囲炎に起因した頬部蜂窩織炎の診断にて抗菌薬の点滴静注を開始した. 3日目に右側の硬口蓋および頬粘膜にびらんの出現を認めたが頬部, 耳前部の顔面皮膚には水庖やびらんの形成は認めなかった. 水痘・帯状庖疹ウイルス抗体 (VZV) の検査結果は陰性であったが, 抗ウイルス薬 (アシクロビル) の点滴静注を開始した. 11日目には口腔内の炎症およびびらんは消失し, 退院となった. 退院時のVZV抗体検査では補体結合反応で256倍を示した.