有病者歯科医療
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慢性疲労症候群 (Chronic fatigue syndrome) 患者における抜歯の1例
田尻 康樹鈴木 晋也塚本 佳孝神谷 祐二
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2007 年 16 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

慢性疲労症候群とは, 健康に生活していた人が, 突然の激しい全身倦怠感に襲われ, 長期にわたる微熱と, 強い倦怠感, 脱力感, 頭痛, 思考力の障害, 精神神経障害などが続き, 健全な社会生活が送れなくなる疾患である. 今回われわれは, 慢性疲労症候群の抜歯症例を経験した.
16歳女性. 左側下顎大臼歯部の疼痛を主訴に来科. 口腔清掃状態は, 非常に不良で齲蝕が多く, 左側下顎第二大臼歯歯肉に腫脹を認め慢性根尖性歯周炎に起因する歯槽膿瘍と診断した. 消炎後, 感染根管処置を予定するも, 全身倦怠感による未来院が続いたため, 保存的処置を断念し, 入院管理下で抜歯した.
慢性疲労症候群の患者は, 全身倦怠感のため通院が非常に困難であり治療時間も短時間に限られる. 治療方針を立案するにする際には, 常に治療回数を最小限に行うことを念頭に置くべきであり, 患者に与えるストレスが過大と予想される場合には入院下治療も考慮すべきと考えられた.

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