有病者歯科医療
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気管切開を余儀なくされた1例
秋山 麻美永合 徹也山田 希佐野 公人柬理 十三雄
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2007 年 16 巻 3 号 p. 155-158

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抄録
今回, 我々は術前検査で予測し得なかった挿管困難で緊急気管切開を余儀なくされた症例を経験した. 70歳, 男性. 口底腫瘍の診断のもと全身麻酔下での腫瘍摘出術が予定された. 酸素, 笑気, セボフルランを用いた緩徐導入後, 喉頭展開し経鼻挿管を試みたが, チューブを声帯部より先に挿入できず気管支ファイバーで確認したところ声帯の肥厚が認められた. チューブ挿入は不可能と判断し, 緊急気管切開を施行した. 気管切開施行時, 換気に問題はなく, 術中, 呼吸器系に異常はなかった. 術後, 気管カニューレによる呼吸管理とし, 声帯の肥厚が軽減した事を確認し抜去した. 挿管困難の原因は多種多様で予測が困難な場合もある. 本症例では, 長期間の喫煙に起因したラインケ浮腫が疑われたが不測の事態における迅速かつ的確な対応についての重要性を再認識させられた症例であった.
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© 日本有病者歯科医療学会
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