抄録
近年, ビスフォスフォネート (BPと略す) 系薬剤の投与を受けている患者においてビスフォスフォネート系薬剤関連顎骨壊死 (BRONJ) が多数報告されている. BP経口剤を投与されている患者のBRONJの発現リスクは静注剤投与患者と比較すると低い. しかしながら, 経口剤でもBRONJの報告が数例認められるので口腔外科手術にあたっては注意が必要である. 米国口腔顎顔面外科学会では, BP注射剤の投与を頻回な投与スケジュールで受けている患者の場合にはインプラント治療は避けることが望ましいとされている.
今回, われわれは, 骨粗鬆症のために経口BP系薬剤 (リセドネート) を服用していた患者に対してインプラント治療を行った. 手術の前に書面にてインフォームド・コンセントを得た. 2か月間, BP系薬剤を休薬し, インプラントを下顎骨に2本埋入した. インプラントは骨のオッセオインテグレーションが得られ, 良好に機能している.