有病者歯科医療
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パニック障害を有する患者に対する静脈内鎮静法の経験
秋山 麻美永合 徹也山田 希佐野 公人
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2008 年 17 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

今回我々は, パニック障害の既往を有する患者に対して静脈内鎮静法を施行し, 術後に不穏状態を呈した症例を経験した. 患者は18歳女性. 過換気発作を伴うパニック障害があり内服加療中である. 静脈内鎮静法下に抜歯術および歯科処置を行うこととした. 初回は下顎右側埋伏智歯の抜歯術を予定した. ミダゾラム5.0mgで至適鎮静状態が得られ処置時間15分で終了した. 帰室後より過呼吸発作が出現したがビニール袋による呼気再呼吸にて症状の改善が認められた. 2回目は下顎左側埋伏智歯の抜歯術を予定した. ミダゾラム5.0mgで至適鎮静状態が得られるも痛みの訴えとともに過呼吸状態を呈したため, 局所麻酔薬およびミダゾラムを追加投与し処置時間30分で終了した. 処置終了後より過呼吸発作が出現したため, ミダゾラム3.0mgを投与した. 症状の改善を待ち帰室としたが, 帰室後より不穏症状および過呼吸発作を繰り返した. パニック障害を有する患者では, 環境の変化や疼痛などのストレスを契機にパニック発作を起こす可能性がある. 不安や疼痛などに対する周術期全般にわたる慎重な配慮が必要であると痛感させられた症例であった.

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