有病者歯科医療
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感染根管治療により感染性心内膜炎を生じた僧帽弁閉鎖不全症の1例
岩城 太河合 峰雄足立 裕康田中 義弘
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1999 年 7 巻 2 号 p. 77-82

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抄録
感染性心内膜炎は基礎的心疾患を有する損傷をうけた心臓弁や心内膜に感染が生じることによって発症する。その原因は, 抜歯などの歯科治療後の一過性の菌血症によることが多いと言われている。
今回われわれは, 感染根管治療により感染性心内膜炎を生じた僧帽弁閉鎖不全症の1例を経験したので報告する。
患者は45歳の男性で, 以前から僧帽弁閉鎖不全を指摘されていた。1991年6月4日, 某歯科医院にて左側下顎第一大臼歯の感染根管治療を受け, その後同部歯痛および周囲歯肉の腫脹が数日間持続した。6月26日より微熱, 全身倦怠感が持続したため神戸市立中央市民病院内科を受診した。血液生化学検査および心エコー所見から感染性心内膜炎が疑われ緊急入院となった。入院後, 血液培養によりγ-hemolytic streptococcusが検出され, 約2か月間の静脈内抗生剤投与により症状は寛解した。先天性や後天性心疾患を有する患者に対して歯科治療を行う場合, 感染性心内膜炎予防のため適切な処置と対応, 特に, 術前の抗生剤予防投与が必要であると考えられた。
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