有病者歯科医療
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後天的鼻咽腔閉鎖不全による言語障害およびその治療
伊東 節子
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1999 年 7 巻 2 号 p. 83-89

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抄録
神経原性筋萎縮症例の言語障害および治療について報告した。症例は55歳, 女性, 1982年10月, 話しにくいという主訴で第1内科から言語治療室に紹介された。軟口蓋の形態は問題を認めなかったが, 可動性は低かった。呼気鼻漏は顕著に認められ, 言語は開鼻声を示した。言語病理診断は後天的鼻咽腔閉鎖不全による言語障害, 治療は軟口蓋挙上装置の装着および機能訓練を指示した。翌11月軟口蓋挙上装置を製作した。1983年1月, 軟口蓋挙上装置装着時では開鼻声は消失し, また/p/構音時におけるサウンドスペクトログラムにおいても正常パターンであり, スパイクフィルを認めた。装着後9か月時来院の際, 同装置は患者によって既に撤去されていた。その撤去後の言語機能は言語機能検査, サウンドスペクトログラフおよびフローネイザリティグラフで検査し, その結果正常言語の再獲得を確認した。以上, 神経原性筋萎縮症例では開鼻声を発現し, その治療として軟口蓋挙上装置を装着した。症例は正常言語習得後その撤去が可能であった。
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© 日本有病者歯科医療学会
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