抄録
これまで3回にわたって土石流、掃流状集合流動、掃流砂を含む流れについて解説してきた。まず、土石流は典型的な固液混相流のひとつであり、それを単一の連続体で近似する場合の流れの力学的なフレームとその解析法について解説した。さらに、その理論を掃流砂にまで応用し、その結果と従来の掃流砂に関する解析法との比較を行った。両者には確かに類似の関係式を見いだすことができるものの、その基となっている力学的なフレームに関する理解はかなり異なっていることを示した。このことは、流砂現象一般を固液混相流として統一的にとらえることの可能性を示唆するとともに、今後、流砂現象に対して、固液混相流としての支配方程式がどのように構築されるべきかについて十分考察する必要があることを示している。そこで流砂現象がどのような支配方程式に基づいて説明されてきたかを整理概観し、その課題について若干言及してみたい。