抄録
われわれは Candida を始めとする多数酵母の抗原分析を行つて, それぞれの抗原構造を示し, 且それらの類縁関係も明らかにして, 各種酵母の taxonomic position に関する新分類体系を提案した. ひきつづき近年特にめぎましい進歩を遂げた免疫化学的研究に則つて実験を行い, Candida の抗体の特異性はIgG分画に高く, またかかる特異性の高い抗体の産生は, 細胞の表層に存する mannan の soluble polysaccharide の免疫によつて可能であることを示した. さらに C. albicans の血清型につき核磁気共鳴スペクトルで分析検討し, また Candida 診断用因子抗体の改良や螢光因子抗体の作製法を示し, なお新考案の鑑別培地と因子抗体の実地応用に関する成績を述べた. 最後に Candida に対する即時型皮内反応抗原による過敏性に関する問題に触れた.