1973 年 14 巻 2 号 p. 39-48
Cryo-SEM (凍結走査電顕法) によつて培地上に発育している Asp. niger の胞子造生器の微細構造をその発育過程に従つて経時的に観察し, 実体顕微鏡下に見られる生鮮試料の状態に何ら化学的処理を加えることなく電顕レベルの解像度までズームアップすることができた. その結果, 従来の試料調製法 (固定, 脱水, 乾燥および蒸着) では観察することができなかつた幾つかの成績が得られた. そのなかの一つとして, sterigma 先端から形成される一本の conidial chain は各 conidiospores の間が特殊な大型の spine (connecting spine) によつて連結されており, またこの connecting spine によつて conidium の発育軸が決定されている.
Asp. niger 胞子の外形的特徴である棘状突起はこの connecting spine を中心として規則的に配列し, 一個の胞子上に40個の棘状突起を数えることができた.