真菌と真菌症
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胃癌患者における消化管内 Candida 属の変動と amphotericin B (Fungizone) の使用成績
吉井 由利春日井 達造中村 多美夫須知 泰山
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1979 年 20 巻 2 号 p. 140-144

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抄録
化学療法中の胃癌患者16名について, 唾液, 胃液, 糞便中の Candida 属の検索を行つた. amphotericin B 非投与の8名では, 104/g以上の増殖がみられた者は, 唾液で50%, 糞便で75%であつた. amphotericin B 投与群8名では, 投与前唾液で75%, 胃液で67%, 糞便で71%に異常増殖が認められたが, amphotericin Bを2~3週間投与することにより, 唾液では63%に, 糞便では88%に Candida 属増殖抑制効果が認められた. 胃液で菌数減少が認められたのは1例であつた. amphotericin B 1日400mg 3週間の投与で,肝機能, 腎機能に障害は認められなかつた. 抵抗力の減弱している悪性腫瘍患者の治療において, 深在性 Candida 症の併発を予防するために amphotericin B を併用することは有用であると考える.
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© 日本医真菌学会
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