真菌と真菌症
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Econazole の作用機作に関する研究
第2報 生体膜におよぼす影響
山口 英世岩田 和夫
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1979 年 20 巻 3 号 p. 201-208

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抄録

Econazole は滲透圧安定剤存在下で Candida albicans または Escherichia coli プロトプラストから細胞内 K+, 260nm-吸収物質およびタンパクの急速な遊出を, 等張塩濃度下でヒト赤血球からヘモグロビン遊出 (溶血) をそれぞれひき起こした. C. albicans および E. coli プロトプラストからの K+ 遊出は薬剤濃度のみならず, 薬剤と細胞との濃度比にも依存性を示した. Econazole の K+ 遊出効果はヒト血清もしくは卵黄レシチンにより強く拮抗された. ヒト赤血球の系においても, ほぼ同様の成績が得られた. 以上の成績から econazole は細胞膜との直接的相互作用の結果, 細胞内成分を遊出させること, しかも膜選択性が低く, 真菌のみならず動物, 細菌の細胞膜に対しても親和性をもつことが示された.

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© 日本医真菌学会
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