真菌と真菌症
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カンジダ症の動物実験モデルに関する研究
多部田 弘士三上 襄加治 晴夫堀見 猪一郎新井 正
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1982 年 23 巻 4 号 p. 297-304

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抄録

カンジダ症の実験研究に適する感染実験モデルを作成することを目的として実験を行い以下の結果を得た. 最初に, マウスを用いて, 経気管的に Candida albicans を肺に感染させることにより肺カンジダ症の実験モデルを作成した. この場合,感染経過は急性であり, 7.5×106CFU以上のカンジダの感染によりすべてのマウスが6日以内に感染死した. 次に, ラットを用いて, 右頚動脈からポリエチレンカテーテルを挿入し, 左心室に留置した後, C. albicans を経静脈感染させた. カテーテルを留置することにより, 正常ラットでは死に至らない少量のカンジダの感染によりカンジダ性心内膜炎が発症し, ラットの死亡がみられた. さらに, 上記2つの新たに作成した感染モデルを用いて, C. albicans のγ線照射細胞の免疫による感染防御効果を検討した. その結果, 免疫群では対照群に比べ有意に死亡率の低下がみられた. この事実は, 本実験モデルがカンジダ症の基礎研究に有用であることを示唆している.

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© 日本医真菌学会
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