1983 年 24 巻 2 号 p. 133-139
急性白血病剖検例の約2/3の症例で深在性真菌症が合併し, その際, 著明な末梢血リンパ球減少を伴うものが多かつたことを, 著者らはすでに報告している. そこで, 白血病と真菌症との関連を追求するべく, AKR/J白血病マウスを使用して, Candida albicans を尾静脈より接種し, 末梢血リンパ球数の変動, ステロイドホルモンの影響等について検討した. 白血病マウスの C. albicans 単独接種群では, 平均生存日数は10.4日であつたが, ステロイドホルモン併用群は, より早期に死亡し, 両群とも各臓器に白血病細胞浸潤とならんで, C. albicans による病変を主として腎臓, 脳, 心臓に認めた. また, C. albicans 単独接種群ではみられないリンパ球減少傾向が, ステロイドホルモン併用群では著明に認められた. 以上の結果より, ステロイドホルモンなどの白血病治療によつてもたらされる末梢血リンパ球減少が, 真菌感染症を誘発する一因となりうると考えられた.