真菌と真菌症
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24 巻, 2 号
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  • 鈴木 茂生
    1983 年 24 巻 2 号 p. 75
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 山本 容正, 岩田 和夫
    1983 年 24 巻 2 号 p. 76-82
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicans の強毒株より分離した糖蛋白 (毒素) の有する種々の生物活性について検討した結果, 本糖蛋白毒素には強いマウス致死活性, Limulus amoebocyte lysate ゲル化活性, 発熱活性, 血漿凝固促進活性, 補体活性化能, ヒスタミン遊離活性等が見出された. さらにこのような活性の大部分は, 糖蛋白毒素の多糖部分を占めるマンナンが担つていることが明らかとなり, 糖蛋白毒素の蛋白部分はこれら活性の発現に相乗的な役割を担うものと考えられた. また, 本糖蛋白毒素の推察される存在部位, その示す種々の生物活性および構成成分等より, 細菌内毒素に対比しうる真菌内毒素として本糖蛋白毒素を位置つげてよいと思われる.
  • 鈴木 益子
    1983 年 24 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    パン酵母 Saccharomyces cerevisiae 粗マンナンを分離精製して得た中性マンナン (WNM) と酸性マンナン (WAM025) の, マウスの腫瘍ならびに感染におよぼす効果について検討した. その結果, 1. 抗腫瘍活性: WAM025投与群は腹水型腫瘍に対して強い抗腫瘍性を示した. 2. 感染防御効果: Staphylococcus aureus 感染に対して, WNM, WAM025投与マウスは両者とも強い防御効果を示した. 上記の活性の作用機作解明のため, 腹腔付着性細胞の酵素活性, 活性酸素の遊離能および食菌能について検討した. 両マンナンとも腹腔付着性細胞の酵素活性および食菌能を高めたが, 付着細胞数および活性酸素産生能はWAM025投与マウスにおいて著しく高められることが明らかとなつた.
  • 小山 次郎
    1983 年 24 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    酵母の細胞壁の多糖質, zymosan を正常血清と反応させると, 第2経路によつて補体系を活性化して, 中間生成物としてC3bをエステル結合したC3b・zymosan (Z・C3b) を生じる. このものは多形核白血球やマクロファージのC3bレセプターに結合して, 食作用やO-2などの活性酸素の生成反応を誘発する. 筆者らは, Z・C3bの生物活性を生化学的に明らかにする目的から, モルモットの多形核白血球よりのO-2生成反応を始動する機構について研究し, 以下の事実を明らかにした.
    Z・C3bは抗原抗体結合物と同様にO-2生成反応を誘発するが, その始動過程が diisopropyl fluorophosphate や mepacrine などによつて強く阻害される. したがつて, これらの免疫複合体がC3bあるいはFcレセプターに結合して, 細胞膜中の NADPH oxidase を活性化する刺激伝達機構には, キモトリプシン様セリンプロテアーゼと phospholipase A2 が関与すると推定した. 一方, sodium dodeyl sulfate など, 特異的レセプターを介しない刺激物では, セリンプロテアーゼは関与せず, phospholipase A2のみが関与することを認めた. phagosome を形成した細胞膜中の NADPH oxidase は刺激しない膜の酵素と Triton X-100 や trypsin 処理に対する安定性の点で相違することや, Triton X-100 存在で電気泳動的に分離した NADPH oxidase の研究から, 細胞膜中の NADPH oxidase は刺激によつて存在状態が変化し, 同じ膜中の cytochrome b などの因子と共範できるようになつて, 活性化する機構を提案した.
  • 宮崎 利夫
    1983 年 24 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    猪苓グルカンGU-3中のα-(1-4) 結合はアミラーゼで変化を受けないが, β-(1-6) 結合はエンド-β-(1-6) グルカナーゼの作用を受け, 41.9%の透析性画分と単一性を示さない非透析性画分とを与える. 後者の各画分の示す活性にはバラツキがみられ, 分子サイズが最も大きい画分はGU-3とほぼ同程度の活性を示した. したがつて, β-(1-6) グルコシド結合の相当部分は活性発現に必須ではない. 霊芝の水溶性アラビノキシログルカンGL-1は, 部分的酸水解によつてアラビノースとキシロースがはずれ, グルカン画分GL-2を与える. GL-2の活性はGL-1のそれと変わらない. また, GL-1およびGL-2はともにアミラーゼの作用を受けるが, 活性に変化はない. したがつて, GL-1中のアラビノース, キシロースおよび相当部分のα-(1-4) グルコシド結合は活性発現に必須ではない. 雷丸グルカンはC-6位分枝β-(1-3) グルカンであるが, 活性を示さない. 他の活性グルカンとの比較から, (1-3)-β-D-グルコピラノシル残基2個に対し1個のC-6位分枝 (鎖長1個で可) を含む unit が minimum common unit であること, 分枝密度が活性の発現に注目されるべき1因子であることを推定した.
  • 野沢 義則
    1983 年 24 巻 2 号 p. 102-107
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    病原性真菌の産生するナフトキノン系色素の生物活性を検索する1つのアプローチとして, キノン構造とフェノール性水酸基に着目してラット肝ミトコンドリアの電子伝達系に及ぼすキサントメグニン (xanthomegnin) とフロッコシン (floccosin) の効果を調べた. 両色素は酸化的リン酸化反応に対して強力な脱共役作用を示し, その発現機構として5,5'-位水酸基のH+解離性による電気化学的ポテンシャルの消去が推定された.さらに, キノン構造に基づく電子伝達系のバイパス形成がリポソーム実験から明らかにされた. なお, キサントメグニンの細胞毒性としてマウス白血病培養細胞 (L1210) における濃度依存的な増殖阻止効果が観察された.
  • 安平 公夫, 浜本 康平, 小原 幸信
    1983 年 24 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    結核菌の場合にならつて, Nocardia asteroides の培養菌体より, 各種の化学成分を抽出し, その生物活性を結核菌のそれと比較した. 死菌免疫ウサギの肺の反応で調べた限りでは, 菌細胞壁に含まれる多糖体, 脂質, 糖脂質, 糖蛋白脂質結合物質の生物活性は, Nocardia においても質的には, 結核菌の場合と同じ結果を得た. 即ち多糖体は沈降抗原であると共に, Arthus 反応惹起抗原であり, その免疫反応は, 組織の壊死とそれを分界する非特異肉芽の形成を惹起する. 一方強い遅延型反応惹起抗原である糖脂質や wax D は, 免疫動物の肺に非壊死性の巨大な類上皮細胞肉芽を惹起する. 死菌の肺注入で惹起される病巣は, 以上の2要素で説明し得るものが多い. 結核菌でも Nocardia でも, 免疫動物への死菌注入で, 壊死と空洞とを伴う病巣が作られるが, その周囲には, 厚い類上皮細胞性肉芽が随伴する. 菌細胞壁を使用しても同様の組織反応が認められる. 細胞壁を充分脱脂した, いわゆる脱脂菌体による免疫反応は, 更に Arthus 型に近いもので, 典型的な打抜き空洞と, 薄い分界肉芽の形成がある. 一方, 細胞壁をアセチル化して多糖体抗原を失活させると, 見事な類上皮細胞巣が現れる. これは感染時の病巣が, 菌体表面の抗原に支配されることを示している. ただ菌に含まれる化学成分の構成比が, 菌種によつて大いに異なつている点に, 充分注意すべきであろう.
  • 第2報 経口投与による In Vivo 感染治療効果
    皆川 治重, 北浦 晧三, 峯浦 和幸, 丸茂 博大
    1983 年 24 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    経口投与による ketoconazole (KCZ) の in vivo 感染治療効果を検討した結果, KCZは系統感染系, 局所感染系をとわず優れた治療効果を示した. (1) マウスのC. albicans 系統感染に対し, KCZ治療群は, 5-FC治療群に比べ低い生存率を示した. しかし腎内残存生菌数を求めた結果, KCZ 160mg/kgを1日1回14日間投与した群は腎内より菌をほぼ完全に陰性化したのに対し, 5-FC投与群では, 腎内より菌が消失することはなかつた. (2) モルモットの実験的白癬に対し, KCZ は高い治療効果を示した. 菌接種48時間後より1日1回14日間の治療でKCZ 10~40mg/kg 投与群および griseofulvin (GRF) 20mg/kg 投与群で明らかな皮膚病変の改善および逆培養陽性率の低下が見られた. KCZ 10mg/kgおよび 20mg/kg投与群とGRF 20mg/kg投与群がほぼ同等の治療効果を示した. (3) ラットの実験的腟カンジダ症に対し, KCZは prophylactic test, therapeutic testとも, 菌接種11日目以後において, 5mg/kg以上の経口投与で腟内の菌を完全に陰性化した. 一方5-FCは, いずれの投与量においても腟内より菌を完全に陰性化することはなかつた.
  • 第3報 経口投与における Ketoconazole のラット血漿および組織内分布-Bioassay法による検討
    皆川 治重, 北浦 晧三, 峯浦 和幸, 丸茂 博大
    1983 年 24 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicans ATCC 28516を検定菌とする Ketoconazole (KCZ) の微生物学的定量法 (薄層カップ法) について検討した. ヒト代用血清 (Moni-Trol I) で調製した標準溶液に対する本法の検出限界は0.16μg/mlであり, 0.16μg/ml以上40μg/mlまでの濃度範囲で直線性が得られた. ラットに KCZを40mg/kg経口投与した際の吸収は極めてよく, 血漿濃度のピーク値は, 65.6μ/mlであつた. また組織内へも広く分布し, 皮膚および毛への移行も確認された. このことが in vivo においてKCZが優れた治療効果を示す要因の1つと考えられた.
  • 脇元 敦彦, 佐川 弥生, 樋口 道生, 滝内 石夫
    1983 年 24 巻 2 号 p. 128-132
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Microsporum canis よりの extracellular な keratinase をマーカーとして, 人表皮の homogenate を限外濾液し, 濾液を CM cellulofine を通過させ, DEAE cellulofine に吸着させ, NaClにて溶出後, 凍結乾燥し Sephadex G-25 によるgel濾過をおこなうことにより低分子の inhibitor を抽出した. この inhibitor の分子量は, gel濾過法より約4,000と推定された. 又, 凍結乾燥, 100℃分間の熱処理にも安定であつた. 抽出された inhibitor 2.9μgにより0.4 keratinase unit の活性が50%阻害された. このkeratinaseに対する阻害活性の外, 2μgのinhibitor により thiol protease の代表的酵素である. papain (12.5μg) 活性は 31%, serine protease である trypsin (6.25μg) 活性は12%阻害された.
  • 第1報 白血病マウスにおける実験的カンジダ症
    阿部 章彦, 舘山 美樹, 多田 光宏, 渋谷 宏行, 恩村 雄太
    1983 年 24 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    急性白血病剖検例の約2/3の症例で深在性真菌症が合併し, その際, 著明な末梢血リンパ球減少を伴うものが多かつたことを, 著者らはすでに報告している. そこで, 白血病と真菌症との関連を追求するべく, AKR/J白血病マウスを使用して, Candida albicans を尾静脈より接種し, 末梢血リンパ球数の変動, ステロイドホルモンの影響等について検討した. 白血病マウスの C. albicans 単独接種群では, 平均生存日数は10.4日であつたが, ステロイドホルモン併用群は, より早期に死亡し, 両群とも各臓器に白血病細胞浸潤とならんで, C. albicans による病変を主として腎臓, 脳, 心臓に認めた. また, C. albicans 単独接種群ではみられないリンパ球減少傾向が, ステロイドホルモン併用群では著明に認められた. 以上の結果より, ステロイドホルモンなどの白血病治療によつてもたらされる末梢血リンパ球減少が, 真菌感染症を誘発する一因となりうると考えられた.
  • 西山 千秋, 落合 豊子
    1983 年 24 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1983/07/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    21歳, 女子. SLE のためステロイドとアザチオプリン内服中に背部と右下腿に表皮嚢腫を疑わせる皮下結節を生じた. 即ち背部では表面常色, 覆皮と癒着, 基底と可動性の小豆大の皮下結節を触れ, 右下腿全体に異型白癬を認め, その局面内に常色~暗紅色の皮下結節が混在する. 組織所見は, 好中球性膿瘍を囲んで組織球, 異物巨細胞が存在し, さらにその外側を膠原線維が取り囲んだ嚢腫様構造が皮下脂肪織に認められた. 菌要素は膿瘍内ではPASに淡染する変形した菌糸や胞子が少数みられたにすぎなかつたが, 組織球浸潤部位ではPASに濃染する菌糸を多数証した. なお, 異型白癬の病変, 膿汁および組織片の培養から Trichophyton rubrum を得た.
    免疫不全を来すような基礎疾患があり, 副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤を使用した深在性白癬症の本邦報告例を検討すると, 自験例と同様, 臨床的に皮下結節が多発し, 組織学的に真皮下層から皮下脂肪織に嚢腫状の好中球性膿瘍を形成する共通した所見があり, 白癬菌性肉芽腫の特殊型と考え, 白癬菌性肉芽腫 (皮下結節・膿瘍型) とした. なお基礎疾患および免疫抑制剤使用に起因する液性免疫の低下が好中球の機能不全, ことに殺菌能の障害を惹起し, 特異的な臨床所見および組織像を来した可能性を推論した.
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